たまたまある一定の地域が3割の緑を確保していたとしても、そこに飛来する野鳥は周辺の山や河川に生息地をもっています。


自然生態系を一定の地域で維持させてゆくためには、地域を超え広域の自然地域の存在が必要なのです。


・・・結局、都市と緑で代表される自然との関係は、時代ごとの価値や機能あるいは都市の形態、規模などによって変わってくると考えた方が妥当だといえます。


つまり緑の存在そのものを、相対的な状況の中でとらえておく必要があるということです。


今日のように、緑が脚光をあび、その価値が評価されるのは、高密度・巨大都市の出現にともない、人びとが緑に期待する内容も一時代昔のそれよりもはるかに多種多様になってきたからに他なりません。


・・・これも相対的な関係といえます。


高密度巨大都市、情報化社会といった背景における緑は、従来のそれよりもはるかに複雑で重層的な意味をもってきています。


しかし、このような背景の緑を、都市計画家・環境計画家・造園家・生態学者はまだ個別的な枠のなかでしか扱っていないのです。


複雑で重層的な意味をもてばもつほど、新しい視点からの都市と緑との関係を見つけ出さねば、せっかくの研究も対症療法的になってしまう恐れがあるでしょう。

前回のべたようなことは多いに越したことはないでしょう。


しかし、少ないからといって都市が機能しえないことはないからです。


このような相対論に対して、都市の緑に量、質の面から、一定の規準を設けようとする気運もあります。


主として生態学からのアプローチです。


・・・たとえば、ある一定の都市域に対して、その面積の3割が公園や庭の他に田畑を含めた何らかの緑でおおわれていれば、ホタルやトンボが生息し、野鳥が飛来する環境が維持できるという仮説があります。


この仮説は自然生態系が都市のなかにも存在していることを物語っています。


・・・しかも、この3割の緑は地域に静けさをもたらし、人間が排出する炭酸ガスや自動車の排気ガスを浄化するといったように、都市活動と自然の生態系の共存が、この3割という基準によって保証されるというのです。


この仮説は理論上は正しいでしょう。


・・・しかし、実際の都市計画における政策の目標値としては、さまざまな点で無理が生じるのです。


都市は島のように閉じた環境系ではないから、絶対的な緑の尺度を論じることは不可能です。


・・・なぜなら、都市における緑の分布形態は、都心部に近い業務、商業地域で極端に少なく、郊外にゆくほど多くなります。


都市のどの断面、空間をとっても緑がある一定の割合を確保することなどありえないのです。

中国の西域や地中海沿岸地域などの乾燥地帯では、まわりにはほとんど草木さえないにもかかわらず、人の住んでいる都市には緑がふんだんにあります。


・・・つまり地下水が湧出するオアシスのまわりに人びとが定住し、また人びとが定住すると何とか緑をふやそうとします。


あふれんばかりの森がある地域の都市内では、緑は排除の対象ですし、緑の全くないところでは何とか緑をふやし大切にします。


・・・いずれにせよ緑と都市、自然と都市の関係は、どうも量、質ともに相対的な位置にあるようです。


都市のなかの緑がこのように相対的なものであるとすれば、緑のまちづくりや、公園緑地政策、さらには緑の保護保全を考えるときの都市の自然のあり方について、何を基準にしてゆけばよいのでしょうか。


単に精神の浄化作用や風致、レクリエーション、スポーツなどの戸外生活の場に緑があればよいというぐらいの根拠であれば・・・


人口や都市の規模に応じてそれらの場が必要であるという相対論として、人間の欲求に応じた緑の基準値を設定できるかも知れません。


しかし、この相対論も、都市が巨大になれば緑もそれだけ多くのものを必要とするのかといえば、あやしくなりますね。

井上十吉の主著は、何と言っても、その辞典でしょう。


現在わたしたちの持っている研究社や三省堂のもっとも近代的な英和、和英辞典と明治初期から中期へかけての、まるで江戸時代の節用集よろしくといったような古い辞典とをブリッジするまことに大きな存在でした。


まだ石川遼 英会話などの勉強法もなかった時代にこれはすごいことでしょう。


ことに明治42年3月に出した『新訳和英辞典』のパイオニア的意義はきわめて大きいものです。


大正7年12月1日発行の『英語青年』誌に


「これまで色々な和英辞典があったが井上先生のが最も信用し得て最も便利とし最も世に行われていたように思うが・・・」


・・・という室田孤蓬氏の記事が出ていますが、この井上の「和英辞典」は明治42年に三省堂から出した『新訳和英辞典』のことです。


この改訂増補版ともいうべき『井上和英大辞典』を至誠堂から井上十吉が出したのは大正10年ですが、この時はからずも一つの悶着が起きました。


和英辞典の紛糾至誠堂から井上十吉氏の和英大辞典が出ると直ぐ、三省堂は江木衷氏を代理人として井上十吉氏を相手取り東京地方裁判所に和英字典出版差止並に珊一万円の損害賠償請求の訴訟を提起しました。


これは明治42年三省堂で井上氏の和英字典を出版した時、井上氏は類似の著書を他より出版しない約束であったのに、今度氏は類書を至誠堂から出した、契約不履行の為だといいます。


・・・すると至誠堂はこの訴訟を利用して新聞紙に辞典の広告を出しました。


三省堂は更に至誠堂を相手取り、信用回復賠償5万円請求の訴を起します。


至誠堂は中川博士を代理人として法廷に正邪を争うといいます。エグゼクティブトレードによると、これは双方の誤解から起ったことで相当の仲裁者があって意志の疏通を見れば円満に解決するでしょう。


・・・神田男こそ仲裁の適任者と思っていた。


が神田男は外遊する、事件は益々紛糾する。


この紛糾を解く人はないだろうか・・・。


と書かれています。

これは、一般の人のほうが足腰が十分でないため、底の厚いクッション性を重視したシューズづくりをしているためなのです。


体が十分訓練されているスポーツ選手は、クッション性よりも曲がりやすいシューズのほうが走りやすくなるといいます。


ジョギングしている人の足の動きをスロービデオで見ると、かかとの外側から着地し路面に平行になったあと内側に倒れ込み、再び路面と平行になってつま先で路面をけ上げます。


力が内側にかかりすぎて足首が内側にかたむく現象をオーバープロネーションといいますが、これがひどくなるとヒザの関節障害の原因になるのです。


オーバープロネーション防止のため、シューズの底の内側に硬いスポンジ材を使い、外側に軟らかい材料を使ったシューズも開発されています。


こうしたジョギングシューズ開発の技術は、競技別に30種あるあらゆるスポーツシューズに生かされているのです。



ジョギングをするとき、足首には体重の3倍の力がかかるといいます。


体重60キロの人であれば、180キロの力がかかるわけです。


これで走り続ければ、疲労度は増します。


シロウトがジョギングを始めて腰を痛めるのもこのためなのです。


疲労軽減のためクッション性、屈曲性を高めています。


クッション性がよく、曲がりやすいシューズは疲労度も少ないからです。


試しに瀬古選手のシューズを45度曲げるのにかかる力を見ると、2・56キロ。


一般のジョギングシューズは6・51キロ。


それだけ瀬古選手のシューズは底が薄く軟らかいのです。


しかし、クッション性はジョギングシューズのほうが瀬古選手のシューズを上回っています。



香港はアヘン戦争(1839~42年)の結果、南京条約によって英国へ割譲せられたアジア最大の良港です。


英国はさきに掌中に収めたシンガポールと並んで、香港を確保することによって東南アジア、中国、日本、太平洋進出への橋頭墾をつくりました。


香港を統御することの影響力は、英国人をしてジブラルタルと対比させるほど大きかったのです。


香港島は大部分が山地で、狭い平地のビクトリア地区に人びとが集中して住んでいます。


現在この地区の人口は約100万ですが、1881年(明治+4年)頃は約16万にすぎなかったのです。


そのうち西洋人は混血人を含めても1万人足らずで、他はすべて中国人でした。


ですから現地の住民に関わる需要は殆ど大したことはなかったのですが、通商貿易の要衝に位置していたために、香港へは世界各国の船舶が多数出入りし、様々な物資を積んで集まってきました。


しかも香港は海関税無税のフリーポートであったため、東洋貿易の物流 相談最大の拠点として日増しに繁栄を重ねていました。


ですから維新後の日本が世界市場開拓にのり出したとき、アジアでは上海とほぼ同時に香港に領事館を開設したことは当然のことでした。

いまではナイロンとウレタンの3層構造のものがほとんど。


表面のナイロン織布と内側のナイロンニットを中間のウレタンフォームを溶かしてくっつけたものです。


これで耐久性、防水機能は飛躍的に向上しました。


ゴム底は耐久性はあるものの重いため、スポーツに耐えられる強度をもったスポンジを開発。


現在のジョギングシューズの底は、天然ゴムと30種の薬剤を調合してつくる特殊なスポンジが主流に
なっています。


こうして軽いシューズが可能になったのです。


ジョギングシューズの重さは軽いもので140グラムぐらい。


クツの重さが10グラム軽くなると、人間の酸素消費量は10%軽減されるというデータもあるのです。



クツの両側に9個ずつの穴がある市販のシューズを使うと、温度は7度下がったそうです。


瀬古選手の場合、左右の穴だけでなく底に120個もの穴をあけ、温度の上昇を防ごうとしていたのです。


マラソンや、ショギングシューズには、快適なランニングができるよう、こうした技術が数多く採用されています。


アシックス商品企画開発センター部長は、


「ジョギングシューズ設計のポイントは、シューズ内の温度をどれだけ下げるか、疲労をいかに少なくするかにかかっている」


と語っています。


シューズメーカー各社は、運動力学の分析によって素材や形などの開発競争を繰り広げています。


一昔前まで、ランニングシューズといえば素材はキャンパス地にゴム底ときまっていたものです。



長距離レースの花形マラソンは、42・195キロの長丁場。


出場選手は自分専用のシューズにさまざまな工夫をこらしています。


瀬古利彦選手は、ロス5輪で変なシューズを使いました。


クツ底に直径1・5ミリの穴が120個もあいた特殊なマラソンシューズです。


競技が行われたのは8月中旬の夕刻。


真夏のロスの気温は30度近くもありました。


高温対策に各選手が気を使いましたが、瀬古選手は穴のあいたシューズでシューズ内の温度を下げ、走りやすいコンディションをつくろうとしたのです。


長距離を走ると、足とクツの摩擦熱やクツ底と路面の摩擦で、シューズ内は高温になり、ひどいときは皮膚がヤケドを起こすそうです。


マラソンレースでの実測は行われていませんが、シューズメーカーのアシックスが東レの人工気象室を使って行った実験では、シューズ内の温度は70度まで上昇したことがわかっています。



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