たまたまある一定の地域が3割の緑を確保していたとしても、そこに飛来する野鳥は周辺の山や河川に生息地をもっています。
自然生態系を一定の地域で維持させてゆくためには、地域を超え広域の自然地域の存在が必要なのです。
・・・結局、都市と緑で代表される自然との関係は、時代ごとの価値や機能あるいは都市の形態、規模などによって変わってくると考えた方が妥当だといえます。
つまり緑の存在そのものを、相対的な状況の中でとらえておく必要があるということです。
今日のように、緑が脚光をあび、その価値が評価されるのは、高密度・巨大都市の出現にともない、人びとが緑に期待する内容も一時代昔のそれよりもはるかに多種多様になってきたからに他なりません。
・・・これも相対的な関係といえます。
高密度巨大都市、情報化社会といった背景における緑は、従来のそれよりもはるかに複雑で重層的な意味をもってきています。
しかし、このような背景の緑を、都市計画家・環境計画家・造園家・生態学者はまだ個別的な枠のなかでしか扱っていないのです。
複雑で重層的な意味をもてばもつほど、新しい視点からの都市と緑との関係を見つけ出さねば、せっかくの研究も対症療法的になってしまう恐れがあるでしょう。