その後、清水毘さんの挿絵で小型の絵本が出版され、
さらに特大の絵本『かにむかし』になって、清水毘さんのはんなりした戯画が、
おおきな画面に伸びやかに、力強くいきいきと物語を語るのを見たとき、
日本の昔話絵本の決定版ができたと思いました。
『かにむかし』は猿蟹合戦のことで、日本各地に伝承されている代表的な昔話です。
この文章は、『夕鶴』などの名作を書かれた劇作家の木下順二さんが、
佐渡に伝わる話をもとに、作者がくらしの中で身につけた熊本弁で、
実に軽妙にユーモアたっぷり、しかもエネルギッシュな文体で再話された傑作です。
本来、それぞれの土地のことばで自在に語られた昔話ですから、
作者があえてくらしことばの熊本弁で語ることによって、
耳で聴くことばの心に響くいのちと歓びをよみがえらせたことに、おおきな意義を感じます。




